こんにちは、獣医師の中村です。
最近は長生きのワンちゃんやネコちゃんを診る機会も多くなってきました。
一緒に過ごす時間が増えることはとても喜ばしいことであり、がんばってくれる姿に勇気づけられることもあります。
その中で、高齢期に入ったワンちゃんの認知症や、特に夜鳴きについて相談されることも増えてきた印象です。
そこで今回は、動物病院で新しく使われ始めている、夜鳴きの薬について紹介したいと思います。
- ベルソムラ
今年の9月に、アメリカのラスカー賞(医学および生物医学研究においてアメリカ医学界最高といわれる賞)を、筑波大学の柳沢教授が受賞しました。そのニュースを耳にした方も多いかと思います。
柳沢教授が発見したのは、オレキシンという、覚醒を促進する神経ペプチドです。また、その受容体が脳に特別に発現することも見つけました。
ベルソムラというお薬は、オレキシンが脳の受容体に結合することを阻害することで、脳を覚醒状態から睡眠状態へ移行させるという、新しいタイプの不眠症治療薬になります。
人用に開発された薬ではあるのですが、さまざまな動物においても効果が認められることを発表した論文があり、その中で、犬の睡眠を促進することも報告されています。
犬自体を対象にした論文や発表はまだ少ないのですが、あちこちの動物病院で使われ始めていて、実際に大きな副作用もなく、しっかり効いてくれる印象を持っています。
- ドネペジル
人のアルツハイマー型認知症の治療薬です。アセチルコリンと呼ばれる神経伝達物質が分解されるのをおさえることで、認知症の症状の進行を抑制する効果があります。
こちらは認知症の犬を対象に使用した論文などが出されており、その中に、認知症のワンちゃんの夜鳴きの症状を軽減する効果が認められたとの報告があります。
その報告では「特に夜鳴き症状の軽減効果が投与後1~2週間という比較的短期間で得られたことは、飼い主の負担の軽減になったと考えられる」とも書かれています。
自分としても実際に、しっかり効いてくれたワンちゃんを経験しています。
夜鳴きのワンちゃんに使うお薬には、これら2つ以外にも、動物病院で以前から使用している睡眠導入薬や抗不安薬、サプリメントなどもあります。
副作用含め、お薬それぞれで気をつけなければならないことは違ってくるので、ワンちゃん一人ひとりに合ったお薬を飼い主様と相談しながら処方し、調整していくのがとても大切です。
ノア動物病院では、介護入院として、夜鳴きのワンちゃんをお預かりすることもできます。
困っていることがあれば、気兼ねなくご相談ください。






