獣医師の堀内です。今回は、猫の尿管閉塞に対して行う手術のひとつ「尿管膀胱新吻合術」についてご紹介します。
尿管とは?
尿管は、腎臓で作られた尿を膀胱まで運ぶ細い管です。
「腎臓→尿管→膀胱」という経路を通って尿が運ばれます。
猫では尿管が非常に細いため、尿管結石や炎症などによって尿管が狭くなったり、閉塞したりすることがあります。
尿管が詰まると尿が腎臓側にたまり、腎機能に影響を及ぼすことがあります。
尿管膀胱新吻合術とは?
尿管膀胱新吻合術は簡単にいうと「狭くなった尿管の一部を切除し、正常な尿管を膀胱の新しい場所につなぎ直す手術」です。
例えば膀胱に近い部分の尿管が狭くなっている場合、「腎臓→尿管→×狭窄×→膀胱」となっている尿路に対して、狭窄した部分を切除し、「腎臓→正常な尿管→新しく作った膀胱への出口」という新しい尿路を作ります。
どのような場合に行うの?
尿路閉塞の原因や閉塞している場所によって治療方法は異なります。
尿管結石などによって一時的に閉塞している場合には、結石を摘出することで尿の流れを改善できることがあります。
一方で、慢性経過している結石の場合は炎症などによって尿管そのものに強い狭窄が生じており、単純に結石を取り除くだけでは尿の流れが改善しないことがあります。
また猫ちゃんの場合、腎臓から膀胱にかけて尿管が細くなっていくため、膀胱側の尿管が特に狭窄しやすい特徴があります。
そのような場合に、狭窄した尿管を切除して、正常な尿管を膀胱へつなぎ直す「尿管膀胱新吻合術」が選択肢になります。(以下図 小動物外科専門誌 SURGEON 124より引用)



尿管閉塞では早期の対応が重要です
尿管が閉塞すると腎臓に負担がかかります。
特に猫では、尿管閉塞があっても症状がはっきりしないことがあり、「なんとなく元気がない」「なんとなく食欲が落ちた」といった症状だけで受診するケースがあります。
尿管閉塞の治療には尿管切開術、尿管膀胱新吻合術、SUBバイパスチューブ設置術など様々な方法がありますが、その子の尿管、閉塞の状態でどの方法が適しているか判断することが重要になります。
大切な腎臓を守るためにも、尿管閉塞が疑われる場合にはできるだけ早く診察を受けることをお勧めします。
当院で尿管結石を診断した平井フーちゃんは「尿管膀胱新吻合術」を実施し、現在は経過は良好です。手術前は水腎症を伴っており腎臓に負担がかかっておりましたが、手術後はすっかり良くなりました。以下CT検査画像、超音波画像です。



手術後の腎臓超音波:黒い領域が良化
尿管手術について気になる方は当院へお気軽にご相談ください。





