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間質性肺炎について

獣医師の檀上です。
本日は、「間質性肺炎(かんしつせいはいえん)」という病気についてご紹介いたします。あまり耳慣れない病名かもしれませんが、重症化すると呼吸不全を引き起こし命に関わることもあるため、早期発見と早期治療が重要です。

間質性肺炎とは

間質性肺炎とは肺の間質、すなわち肺の中で酸素と二酸化炭素を交換する肺胞(はいほう)を支える組織に炎症や線維化(組織が硬くなる変化)が起こり、呼吸機能が低下する疾患です。正確には間質性肺疾患とういう総称で、何種類にも細分化されます。

この病気は、遺伝性(ウェスティー)や免疫介在性、薬剤、化学物質や放射線など様々な原因で発症することがありますが、犬では原因が特定できない(特発性)ケースも少なくありません。

症状


次のような症状がみられる場合、注意が必要です。

  • 持続的な咳
  • 呼吸が浅く速い
  • 散歩や運動を嫌がる、疲れやすい
  • チアノーゼ(舌や歯茎が紫色っぽく見える)
  • 食欲の低下、元気消失

慢性の経過をたどることが多いため、「年齢のせいかも」と見過ごされてしまうこともあります。

診断方法

診断には、以下のような検査を組み合わせて行います。

  • 身体検査
  • 血液検査(炎症反応や動脈血液ガスなど)
  • 酸素飽和度の測定(SpO₂)
  • レントゲン検査
  • 超音波検査
  • CT検査
  • 病理学的検査

また、症状や画像所見が他の肺疾患(肺水腫・肺炎・気管支炎など)と類似することも多いため、鑑別診断が非常に重要です。                                        

※いずれの検査も当院では実施が可能です。

治療方法

原因や病態の進行度により異なりますが、主に以下のような対応がとられます。

  • 抗炎症薬(ステロイドや免疫抑制剤、好中球エラスターゼ阻害薬)
  • 抗線維化薬
  • 酸素療法(酸素室)
  • 人工呼吸器管理
  • 安静と生活環境の整備(ストレス軽減・室温管理

初診時のレントゲン画像

治療3週間後のレントゲン画像

※上記のレントゲン検査画像は間質性肺炎として治療し、約3週間の入院の末に退院したワンちゃんです。


飼い主の皆さまへ

間質性肺炎は、進行するまで症状が目立ちにくいため、早期に異変に気づいていただくことが重要です
「最近、息が荒い気がする」「咳が治まらない」など、少しでも気になる症状がある場合は、どうぞ遠慮なくご相談ください。現在、ヒトと比べると犬猫における治療の選択肢は限られており、病態が進行し線維化が起こってしまうと治療が困難になります。しかし、救命できる可能性はあります。

当院では、このような呼吸器の疾患にも早期に対応できる体制を整えております。大切なご家族が少しでも健やかに過ごせるよう、引き続きサポートしてまいります。お困りの際はいつでもご相談ください。

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