ノア動物病院

お問い合わせ・ご予約

011-841-0729

緊急の方はこちら

080-9611-8108

トリミング・ホテル「バレーナ」

011-876-8765

公式LINE

WEB予約

出勤表

Instagram

電話アイコン お問い合わせ

閉じる

BLOG

ブログ

その下痢、様子を見ても大丈夫?

こんにちは。動物看護師の寺越です。

「昨日までは元気だったのに、朝のお散歩で急に下痢をした」 「病院へ行ったほうがいいの?それとも少し様子を見ても大丈夫?」

このようなご相談は、動物病院でとても多くいただきます。

下痢は食べすぎやストレスなど一時的に起こるものもありますが、中には病気が隠れていることもあります。

今回は、便からわかる健康状態や下痢の原因、受診の目安についてご紹介します。

便の正常・異常

まずは普段から便を観察することが大切です。便は毎日確認できる健康のバロメーターで、色や硬さ、量、回数、におい、血液や粘膜の有無など、小さな変化が病気の早期発見につながることがあります。

「ちゃんと出たかな?」だけではなく、「いつもと同じ便かな?」という視点で見てみましょう。

まずは下痢の定義やメカニズムについて

「下痢とは、24時間以内に3回以上、軟便または水様便が繰り返し排出されることである。症状の持続期間により急性、持続性、慢性の3つに分類される。14日未満は急性下痢、14日以上30日未満を持続性(遷延性)下痢、30日以上持続する場合を慢性下痢と定義される。」

下痢が起こるメカニズムは大きく4つに分けられます。
①腸からの水分吸収が妨げられる
②腸に炎症が起きて腸の中に体液がにじみ出てくる
③腸が出している腸液の分泌量が増える
④消化物の通るスピードが速すぎて、水分吸収が追い付かない

便の硬さも様々で、硬い便、正常便、軟便、泥状便、水様便と変化していきます。 下痢だからといってすべて同じではなく、便の状態によって原因が異なることもあります。

そして色も重要なポイントです。

便が黒くなる理由は、出血した血液が胃酸や消化酵素と混ざり合うことで酸化され、鉄が錆びるのと同じように黒く変色するためです。

一方、鮮やかな赤い便は大腸や直腸、肛門付近からの出血が疑われます↓

白っぽい便は胆汁の流れに異常がある場合などに見られることがあります↓

また、食べ物やおやつ、薬によって便の色が変わることもあるため、便の色だけで病気を判断することはできません。

下痢の種類と特徴

下痢にも特徴があります。

小腸は栄養を吸収する場所なので、小腸に異常があると便の量が多く、水っぽくなり、体重が減少したり、タール便がみられたりすることがあります。

一方、大腸は水分を吸収する場所です。大腸の異常では、一度に出る便は少ないものの何度も排便姿勢をとったり、ゼリー状の粘液や鮮血が付着したりすることがあります。

では、下痢の原因にはどのようなものがあるのでしょうか。

下痢になる原因

  • 急なフード変更
  • ストレスによる胃腸炎
  • 食べ過ぎ
  • おもちゃや人の食べ物の誤食
  • 寄生虫やウイルス・細菌感染
  • 炎症性腸症(IBD)
  • タンパク漏出性腸症
  • 膵炎
  • 膵外分泌不全
  • 消化管腫瘍(リンパ腫)
  • 薬の影響

など、原因はさまざまです。

診察では「昨日、唐揚げを少し食べてしまいました」「ゴミ箱を漁さってしまった」といったお話を伺うこともあります。

人の食べ物は犬や猫にとって脂肪分や塩分が多く、高脂肪な食事が膵炎のきっかけになることもあります。   

「少しだけだから大丈夫」と思っていても、診断の大切なヒントになるため、受診の際はぜひ教えてください。

また、この時期は熱中症にも注意が必要です。

熱中症というと「ハァハァと呼吸が荒くなる」「ぐったりする」というイメージがありますが、実は初期症状として下痢や嘔吐がみられることもあります。

体温が上がりすぎることで腸の粘膜にもダメージが及び、水分をうまく吸収できなくなるためです。暑い日に下痢や嘔吐がみられた場合は、「お腹を壊しただけかな」と自己判断せず、熱中症の可能性も考えて早めにご相談ください。

検査と治療

当院ではまず糞便検査を行います。顕微鏡で便を観察することで、寄生虫の有無だけではなく、細菌のバランスや消化の状態など、多くの情報を得ることができます。

必要に応じて、血液検査やレントゲン検査、超音波検査、PCR検査などを組み合わせて原因を調べます。

受診される際は、新鮮な便や便の写真をご持参いただけると診断の大きな助けになります。 時間が経つと便の状態は変化してしまうため、できるだけ新しいものがおすすめです。

治療は、お薬だけではなく食事管理も重要になります。

ただし、「お腹に優しいフードなら何でも良い」というわけではありません。

  • 胃腸炎では消化しやすい療法食
  • 食物アレルギーでは加水分解食やアレルギー対応食
  • 膵炎では低脂肪食
  • 慢性腸症では高消化性食

など、病気によって適した食事は異なります。

また、「新しいフードを買ったから今日から全部切り替えよう」と急に変更してしまうと、それだけで下痢を起こしてしまう子もいます。新しいフードへ切り替える際は、今までのフードに少しずつ混ぜながら7~10日ほどかけて変更するのがおすすめです。開封したドライフードは空気に触れることで酸化が進むため、できるだけ1か月程度で食べ切れるサイズを選ぶと品質を保ちやすくなります。

では、どんな時に病院へ行けば良いのでしょうか。

受診の目安

一度だけ軟便になっても、元気や食欲があり、その後すぐに改善する場合は様子を見られることもあります。しかし、下痢を何度も繰り返す、嘔吐を伴う、食欲や元気がない、血便やタール便がみられる、誤食の可能性がある、子犬・子猫や高齢の動物、数日経っても改善しない場合は、早めの受診をおすすめします。

お祈りポーズ
膵炎など腹痛がある場合にこのポーズをすることがあります。
お腹がぎゅるぎゅる聞こえることも。

最後に

動物看護師として診察に入っていると、「こんなことを話したらどう思われるかな…」と、人の食べ物をあげたことや誤食をためらわれる飼い主さまもいらっしゃいます。しかし、私たちは責めるためではなく、その子に合った治療を行うためにお話を伺っています。どんな小さなことでも構いませんので、気になることがあればぜひ教えてください。

便は毎日見ることができる大切な健康のサインです。「いつもと違うな」と感じたら、便だけではなく、食欲や元気、水分摂取の様子などもあわせて観察し、迷った時はお気軽にご相談ください。飼い主さまの気付きが、大切な家族の健康を守る第一歩になります。

ブログ一覧