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FIP(猫伝染性腹膜炎)って治るの?
こんにちは、勤務獣医師の堀内です。
皆さん、猫ちゃんのFIP(猫伝染性腹膜炎)という病気はご存じでしょうか。これまで不治の病と言われており、猫ちゃんが発症するとほとんどの割合で亡くなってしまう病気であります。しかし近年FIPに対する治療効果を認めたとされる薬の報告が出てきており、あのFIPが治る!!という情報を耳にするようになってきました。
データとして十分にあるわけではないので自分としては半信半疑ではあったのですが、FIPを発症した患者さんがその治療薬の使用についてご希望されたためご紹介したいと思います。
今回私がご紹介させて頂くのは1歳齢猫ちゃんのこまちちゃんです。
当初こまちちゃんは元気食欲の低下を主訴に来院されました。来院時は体温が39.7℃と高体温、超音波検査においてお腹のリンパ節の腫れが認められ、精査をしたところFIPウイルスの感染が認められました。FIP治療薬については様々な種類が出ているのですがこの子についてはモルヌピラビルという治療薬を使用しました。
私自身このFIP治療薬を使用した経験は1度もなかったのですが、なんと治療薬使用3日後くらいから熱も38.5℃と正常に戻り、元気食欲も出てきました。
以下治療前、治療後の超音波検査におけるリンパ節の画像です。明らかに縮小しているのが分かると思います。
こまちちゃんは3か月程治療薬を継続して現在は無治療で経過をみているところでありますが、現在も再発なく元気食欲なども問題ありません。
他のFIP患者さんにおいて、腹水が出ているタイプのFIPの患者さんにも治療薬を使用したところ、腹水の消失が認められ一般状態も改善されております。腹水でお腹がパンパンになってたところが、このように元通りに戻っております。
これまで完治はできないと言われていたFIPが治ることがあるという状況に私自身大変驚かされ、このように獣医療は日々進歩していると改めて実感させられました。
今後も獣医療の進歩に伴いこれまで治らなかった病気を治療できることで、ご家族の大切なペットやご家族自身に幸せな時間を提供できるようになることを切に思っております。
当院では上記のモルヌピラビル(内服薬)という薬以外にもレムデシビル(注射薬)も取り扱っております。内服困難なネコちゃんにも使用できる薬となっております。
FIPの治療に関しては完治できるかどうかは個体差があると思われますが、FIP治療について当院でも今後も取り扱っていきますのでご相談したいことがあればご連絡ください。